2006年01月19日

「猫研究員の社会観察記:ODA改革続報―企画立案・実施ともに内閣府・首相直轄案」を拝見して。

「猫研究員の社会観察記:ODA改革続報―企画立案・実施ともに内閣府・首相直轄案」

たとえ憲法改正するにしても、ODAこれが目本にとって一番の外交ツールだろうと思います。発言権を得る上でも。
アメリカのように全面的に軍事力を背景として押し出す政策は、これま目本が培ってきた外交に似つかわしくなく、また国民としても納得しがたい方法だろうと思います。私個人としても、確かに憲法改正によって軍事力を背景とした政策もできない事はないと思いますが、目本国としてはそのような方法はできるだけ排除したいと思っています。

対外経済政策は、目本の一番の外交手段であることは未来永劫としたいところでもあり、それは外交の基本政策でもあろうと思います。またその基本政策は首相が変わるたびに変わってしまってはいけないものだとも思います。これなくなると、外務省の外交政策のカードがなくなるのではないかと思います(それがいいということかもしれないですが)。
従って私は、企画立案部門は、外務省下に「対外援助庁」を設置すべきだと思っています。企画立案部分と実施部分を分ける理由が基本的に良くわかってない私なので、素人的には効率と言う部分においても実施部門も、「対外援助庁」に統合すべきだと思います。
そして、内閣府には有識者でも何でもいいですが(ちゃんとした専門家)、総理大臣の任命する人員(委員?)による、対外援助庁の監視部門を置いて、無駄なものがないかをチェックする。こういう仕組みが良いのではないかと思っています。国会でも審議できるようにできるだけ詳細に情報公開してほしいです。企画立案実施部門と監査部門を別の幹にぶら下げる。これがいいのではないかと。。外交の専門家に、意見するなどと言うのは恐れ多いのですし、釈迦に説法だとも思います。外務省はこれまで失敗してきたから、内閣府にというのもよくわかります。でもやっぱりODAは目本の普遍的最大の外交手段であるゆえ、継続的な戦略を求めたいです。
最低限の援助要件は「自由と民主主義の発展を約束する国に援助します」みたいな感じです。でもなんかいつも思うのですが自由と民主主義(多数決)って矛盾するような…
だから要は「民主化促進のための援助」「新目国作り」の二つですか。中身を語れない私が、器を考えると言うのも変な話ですが。。

企画立案部門を内閣府に設置するのであれば、それは外務省不要論とつながり、それは省庁再編につながることだろうと思います。外交通商省とかそんな再再編の話もあるみたいですが。
省庁の重複分野はあるでしょうが、それをまとめていくと総務省みたいなわけわかんない巨大省庁の出現にもなりそうですし、なかなか具体案というのは浮びません。
外交分野だけでも、外務省・環境省・農林省・経産省の対外部門重複とかあって、どんな省庁整理ができるのか。。
師匠に試案おありだったら、いつか社会観察記でと…ひそかに期待しています。

中身の議論は見えてこないですが、安倍さんの下になんか会議があるそうですね。そこが案を出してくるまで、私としてもコメントできる知識はないです。
posted by 総理大人 at 17:59| Comment(8) | TrackBack(1) | 【特設】私の視点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
対外援助を管轄する部門を、官邸直轄にするか外務省傘下におくかというのは、実はどちらも理由のあることです。外務省傘下におくべきというのは、外交手段としての重要性に着目する考え方で、保守党政権時代の英国がそうでした。現在の米国も国際開発局は国務省傘下にありますが、対テロ戦争での戦略的一貫性を重視する立場から大統領直轄にすべきとの意見も出ています。英国では、1997年にブレア政権に替わってから「国際開発省(DFID)」として外務省から独立して大きな効果を挙げています。DFIDを設置した結果として、対外援助の目的が明確化されたことや、他の関連政策との整合性や一貫性が謀られるようになったと指摘されています。これに見習ってはどうかというのが私の意見です。
ODAは外交の一つの大きな手段には違いないけれども、それを外務省が主管しなくなっても外務省の存在意義がなくなるなどということは断じてありません。
省庁再再編の話に関しては、重複しているものはすべてまとめるとかそういう発想はよくないのではないかと考えています。同じ問題に関しても違う角度からのアプローチというものは当然必要なわけで…。例えば、IT関連をまとめるべきなどという話も出ているようですが、研究開発とインフラ整備を別の官庁が管轄するのは別におかしくもなんともないです。外交と通商もまとめるべきではないでしょうね。やるべきことは権限の微調整とかその程度だと思います。その前に防衛庁の省昇格を早急に実現すべきです。
Posted by 猫研究員。 at 2006年01月20日 02:17
イギリスは、所管大臣まで置いて外交・国益とは距離を置いたいう見方があるみたいですね。そのこと自体が国益であり、長期視野の外交手段と見るのが正しい見方でしょうか。国際開発の法律を作ったんですよね。英国ODAは他国と違って特殊と言うか、先を言ってるという感じなのかな。世論調査によるとNPO始め国民個々人の活動も積極的みたいで国民個々人の意識が高いようですね。それは重要な後押しだろうと思います。なんか日本の世論は「国内が不況で所得格差がひらいてるときに、外国に援助なんて」みたいに感じますよね。日本ではそういう教育と言うのは皆無と言っていいでしょうから。実は私自身もそういうところはあるのですが、でも外交と言うことを考えると、質を強化していく中でむしろ増額していくべきだとは思ってます。財政再建との兼ね合いでしょうが。
中国が円借款を返しているのだ、というのはもう少し報道してやってほしいです。なんか日本自身が反中化しているような特にネット世論で。せめて中共と、そのある種被害者の中国国民、これは分けてほしいなといろんなブログ見て思ったことです。

イギリスが成功例と言える、なんか端的明快な記述のウェブサイトはご存知ないでしょうか。。。NPOのサイトなんかには、よくイギリスが成功例としてあって、どうもそっちの見方の情報しか見られてないんですよね。。外交・国益という視点から、国際開発法に基づくイギリスのODAを見るような。師匠が押すくらいだから、やはり国益という視点を入れてらっしゃると思うんですが、なんかいい文書ぜひ教えてください。
場合によっては目本国としても所管大臣置かなければならないですね。

「対外経済協力会議(仮称)」は、お飾りになるだろうなと思いました。
あの講演の一番の収穫は、円借款について。そうかそういう考え方もあるのだなという感じでした。有償資金協力というのは、世界の潮流ではなく、日本も無償資金協力に切り替えていこうと言う動きみたいですが、なにがなんだかわかんないです。。適所適種適支出ということなんだろうけど。。

防衛省は今国会だったでしょうか。なんか最近報道がなくなったような気がします。。
Posted by 総理大人 at 2006年01月21日 23:34
イギリスの国際開発省は、いみじくも指摘された通り、長期視野の外交手段としての対外援助ということを強く意識して設置されたものと考えてよいでしょう。直接的な国益を超える「貧困の削減」という理想主義的側面ももっています。我が国が最近掲げている外交理念の一つに、「人間の安全保障」という概念があります。これは、一人一人が安全な人間らしい生活を送ることができなければならないというリベラルな概念なのですが、貧困の削減も人間の安全保障に含まれる大きな柱であり、こういう理念を掲げている日本外交にマッチするのではないかと思うわけです。他には環境問題なども挙げられます。個人的な趣味からいえば、もっとリアリスト的な立場で考えるのが好みといえば好みなのですが、日本は軍事大国ではないので、国際世論の共感を得られるような理念を掲げ実行することが国際社会において存在感を増すために必要なことです。ODAもその文脈に位置づけるべきだろうと思います。額の多寡よりもまずは目的を明確に設定すべきです。国民の税金を外国に援助するというのだから、それは納税者の目が厳しくなるのは当然のことです。それゆえにこそ、対外援助を実施するに際してはきちんと理論武装しなければなりません。
イギリスの例は、短期的な国益に直結しているわけではないということから、具体的な成功例をあげるのは少し難しいのですが、
http://www.grips.ac.jp/forum-e/doukou/d_uk.htm
(政策研究大学院大学の何かのフォーラムの要旨)
http://dakis.fasid.or.jp/report/information/britishforeignassistance.html
(国際開発高等教育機構の課題別基礎情報)
の二つを簡明なまとめのサイトとして紹介しておきたいと思います。

中国が円借款を返しているという報道は確かにもっとなされてもよいですが、対中感情の改善に直ちに寄与するかは微妙だと思いますよ。反中は、今の時点ではこれまで言えなかったことを言えるようになったということで新鮮な気分で半ばファッション化してますが、そのうち皆飽きてくるでしょう。中国は基本的に脅威だと認識していますが、何が脅威で何が脅威でないか、冷静に分析しておく必要がありますね。
Posted by 猫研究員。 at 2006年01月22日 02:45
そうですね、評価というのは具体事項については難しいようですが、ご紹介くださった二つの文書(難しかった〜笑)で一番感じたことは、外務省下か内閣府下か独立省庁かということではなく、まさに理論武装の仮定が大事であり、また一体的な政策策定ということです。そして国民的な後押しが大事だということも強く感じました。まさに私が見たかった文書でありました。わざわざありがとうございました。

>日本は軍事大国ではないので、国際世論の共感を得られるような理念を掲げ実行することが国際社会において存在感を増すために必要なことです。
>対外援助を実施するに際してはきちんと理論武装しなければなりません。

ほんとそうですよね。今、型しか見えてこない面があります。内容と枠組みと言うのは、内閣府下か外務省下かといこと、所管大臣を置くかなど不可分ですよね。概して小泉さんは、型から入るようなところがあります。それが功を奏した場面というのも多いのですが、国際援助についてはこれではダメですよね。内容の話がもっと出てきてほしいです。
ご紹介の文書を読んで一層外務省と思いました。外交と援助政策が一体的となるということは、援助政策の効果的な推進という面においても有利であると感じました。日本に適したものであると感じました。いずれにしても、小泉さんには理念をしっかり掲げてほしい。

>外交理念の一つに、「人間の安全保障」

これはっきり言ってわかんない概念です。特に民主党なんかあらゆる文脈でこのキーワードを出していて(というか民主党発の言葉だと思ってました)、この概念自体が広すぎると言うか、テキトーというか、フワフワしてるんです。都合のいい言葉という印象が強い。

中国脅威論に関して、
小泉さんは、「中国は脅威か?」に対して、「チャンスだ」と軍事面と経済面をわざとズラした答えをしますが、「中国脅威論は「とらない」。」と言うことに関して私が評価というのもおかしいですが、評価しています。
前原さんが、脅威と言うのは正しいのだと思いますし、例の講演全体としても「もっとも」だと思うことは多かった。
しかし、内容はともかくまがりなりにも民主党代表が中国主席と続けてきた会談というのがなくなった。これは民主党にとっては大きいことだろうと思います。
これはなんか政治家としてセンスがないというか、民主党残念と言うか、せっかく靖国参拝に関しては反対だと言うのに、なんの意味も無いというか、センスないというのが一番感じたことです。
靖国参拝に関して国内世論が二分しているという状況は、中国との外交関係を危惧している国民が多いということで、そこに民主党が重視するというアジア(中国)外交にも国民支持を集めるチャンスがあるはずで、自民党との大きな対立軸となるはずでした。これは与野党で外交理念が一致するということと、矛盾はしないと思います。
うまく言えないのですが、中国と日本が政治的に冷めた状態と言うのは、日本にとっても将来の損害を内包するものだろうと思います。長期化すれば経済にも必ず影響してくるのであって、トップ会談ができないというのは、中国ではなくむしろ日本の方が損害が大きくなる可能性さえあると思います。加えて、日本国内での世論の状況・選挙戦術。国内の支持・外交関係、二つの点で前原さんはせっかくの好機を逸したと感じました。
中国脅威と声に出して言うか言わないかに関係なく、脅威であるという認識に立ってものごとは進めればいいのであって、それは当然なこと。脅威と口に出した、後の中国との付き合い方が関係の良化の方策が見えてこないことは大変不安です。前原さんは言いっぱなしというつもりでもないでしょうが。
麻生さんや安倍さんはともかく、前原さんの発言は正直残念です。政治家としてのセンスというか、小泉さんに感じるもの、これが前原さんからは感じられません。私は無党派ですから、民主党に期待する部分と言うのは大きいので。
中国を脅威だと言うことに関しては、どっちがいいのだろうかと悩んでいるのですが、民主党が脅威だと言ったことは残念です。脅威だと言われた中国が「そうではない」と言うならばその根拠を示さねばならないと思います。しかし、現実には中国は硬化するのです。その後が見えてこない発言は国民を不安にさせるだけです。
何言ってんだかわかりませんが(笑)、素人のたわごとです。。

Posted by 総理大人 at 2006年01月27日 00:30
参考までに掲載したサイトがお役に立ったようでよかったです。ご覧になって「ますます外務省」になったのは誤算といえば誤算ですが、中身が充実して効果が上がるのであれば方法論は枝葉末節ですから、外務省がちゃんとやってくれるならばそれはそれで結構なことです。私が主張したい事がほとんど漏れなく伝わったようで大変うれしい限りです。

「人間の安全保障」については「よくぞ言ってくれた!」と正直いって思いますよ。政府の方針としてそれを掲げているっていうのと、ご指摘のように得体の知れない概念だけに逆に便利だからという理由で使ってみました。英語ではhuman securityなんですよね。変な訳にしたものだ…。ちなみにUNDP(国連開発計画)の『人間開発報告書』によれば、人間の安全保障とはおおよそ次のようなものを含むそうです。(1)経済の安全保障=安定した収入と仕事の確保、(2)食料の安全保障、(3)健康の安全保障=医療サービスの充実など、(4)環境の安全保障、(5)個人の安全保障=人権の確保、犯罪からの保護、暴力から身の安全を守るなど、(6)コミュニティ(地域社会)の安全保障=地域社会集団が互いの文化や価値観への理解と寛容を高めることにより民族・宗教紛争を予防、(7)政治の安全保障=独裁政権を排して、民主的な政治システムをどのように確保するか。この中で、私が飛びつきそうな概念といえばやっぱり7番目の「独裁政権を排して…」ですね。6番目も少し関係してくるのかな。独裁体制を転覆して自由民主主義の価値観を広めるのは、これからの国際社会の潮流になると思うので。引用元の文献では、人間の安全保障という概念のこういう使い方には「違和感がある」と明言してましたが…。そんなこといったって、どうとでもとれる概念なんだから仕方ない。あっ、こう見えて環境問題にはなぜか大いに興味があったりします。もちろん左派の環境至上主義とは全然違いますが…。
Posted by 猫研究員。 at 2006年01月28日 06:29
「人間の安全保障」というのは、こうも広く用いられるんですね。
「安全保障」の多用はあんまり日本語的によろしくないような印象。
またこれ「人間開発報告書」という訳語自体気に入らないです(笑)ほんと。「人類発展(のための)報告書」ぐらいにはならなかったんでしょうか。十分正しい訳語です!!あとで、訳語「文民」についても文句言います。

環境というと、やっぱり各国の国益、とりわけ経済的背景抜きにして語れないということでしょうか。ほんと京都議定書云々にしても、難しそうで手が出ません。。理想と現実の調和を課題とする問題は難しいですね。
師匠の視点からの環境問題はいつも、とてもうなづかされます。ヒネリの効いたというかイヤラシイというか、最高です。これからもブログでどんどん取り上げてもらいたいです。

言うの忘れてましたが、イギリスの大きな成果は、国連機関の援助政策決定に大きく作用してるってことですね。

Posted by 総理大人 at 2006年01月28日 08:59
訳語は総理に任せたほうがよさそうですね(笑)『人類発展のための報告書』は実にいい。

さて本題。
>イギリスの大きな成果は、国連機関の援助政策決定に大きく作用してるってことですね。

そういうわけで、安保理常任理事国入りだけが国連で政策決定に関与できる方法というわけではないのですよね。今のODA外交とやらは悪く言えば札束外交だし…。

環境問題ってやつは規模が大きくなるほど因果関係が曖昧模糊としてくるものです。気候変動が人口爆発とあいまって水をめぐる紛争が増えるんじゃないかという説もあり、なかなかうなずけるのですが、そういう紛争の仲裁や予防に積極的に関わっていくのも日本の外交方針として掲げてよいんじゃないかと思います。中国への援助だって、酸性雨を防止するための脱硫装置なんか使途さえ明朗にやってくれれば文句はありませんよ。
Posted by 猫研究員。 at 2006年01月31日 02:30
やっぱり情報戦のためにも、常任理事国入りしたいですけどね^^
お金払う分だけ、口出してもらわないと困るし、口出せるだけの外交方針と方策を持たなきゃならんですね。
変な言い方ですが、環境問題というのは外交安保上も経済の上でも、目本のチャンスですね。
Posted by 総理大人 at 2006年02月04日 19:09
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「ODA庁」ではなくて「対外経済協力会議」設置の方向―政府原案明らかになる
Excerpt:  連日お伝えしているODA改革の最新情報をご報告する。19日に明らかになった政府原案によれば、ODAを管轄する官庁を設置するのではなく、内閣官房のもとに「対外経済協力会議(仮称)」を設置するとのことで..
Weblog: 猫研究員の社会観察記
Tracked: 2006-01-20 23:34
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