2005年11月26日

男系維持で国民に支持される安定的な皇位継承は可能か。

皇統はずっと男系で維持されてきた。
男系維持派の皆様は、歴史と伝統を重んじるということであろうと思う。もし仮に皇統がずっと女系で維持されてきたのに、現代において男系天皇を認めるような論調が出るなら、それも批判するということだろう。その意味において、Y染色体云々というのはつまらない観点だと思う。(「もしも」の話もこれまたつまらないものであろうが。)
現代科学のY染色体云々はどうでもいいのである。Y染色体を持ち出すことは論理の質を低下させる。
先人たちは父方の血をたどると初代の天皇にたどりつくということは意識していたであろう。
どうして男系を維持したかということ、皇統がジグザグになることを先人たちは懸念したのだろう。

女系天皇容認派の中にもいろんな人がいる。
私は象徴天皇維持の観点に立ち、さらに象徴の天皇にもっとも必要なものは、カリスマ性や神秘性、国民からの天皇・皇室に対する求心力いうものだという視点に立ってこの皇位継承の問題を考えている。

皇位継承に男女平等の観点を持ち込むのは、不適当であると思うし、私自身は持ち込まない。ただし、この問題の本質は男系を維持するかそうでないかであるからして、男系を維持しないならば、兄弟姉妹間で男女に優劣をつける必要などないと考えている。この長子優先の考え方は皇室典範に関する有識者会議の報告書にあるので省略する。
女系天皇容認支持派は悪質フェミニストであり安易な男女同権論者であり左翼であるというような論調はどうして出るのだろう。

私は皇位継承に関してさまざまなブログを拝見したが、どうもおもしろくない。
それは有識者会議批判をしているだけのブログが多く、そしてまた歴史と伝統、歴史と伝統と唱えるだけのブログが多いからだ。それが悪いことだと思わないが、なんら建設的ではないのだ。
有識者会議で議論されてきたのは安定的な皇位継承を目指す方法なのである。もちろん会議には拙速の感はあり乱暴の感もあった。しかしなぜ今、この話題が持ち上げられているかというと、皇位継承の危機だからであるのだ。大方の男系維持派ブログは男系を維持した上での安定的に存続可能な皇位継承の方策についてなんら提案しない。
批判をするだけというのは非常に簡単だ。いくらでもできる。私個人は、ほとんどのブログ作者は、有識者会議を批判できたものではないと感じている。したがっておもしろくないのだ。

そんな中、私のweb検索能力の中で、その方策について真面目に考え提案する数少ないブログを見つけた。
時事評論@和の空間 皇位継承を考える(2)男系維持の方策(その1)(その2)もあります。
私が言うにはおこがましい話だが、非常に評価できるし、おもしろいと思った。これがあるべき姿であろうと思う。
今の世の中は、対案主義でないと相手にされない。
国民からのカリスマ・神秘性といった方面からの方策も考えられていた。
しかし、作者の結論はカリスマ・神秘性を考慮すると安定的な皇位継承は難しいだろうということであった。(断っておくが、作者は必ずしもそこを重要視せずともよいという立場に立っておられる。そこが私と違うところである。)

===
追記:和空さんのコメントより和空さんのスタンスを補足
記事その2のほうは、妥協案であること。
基本的には旧宮家の無条件の皇籍復帰(復帰しない一部の旧宮家の男系男子については永世にわたる皇位継承権の付与)を求めること。
側室制度容認派であること。
皇室のカリスマ性や神秘性は、「国民からの」という意味ではなく、本来の宗教的な力という点を考えていること。
===

私は、側室制度(非嫡出子)を大々的に唱えて、あるいは生命倫理に踏み込んで遺伝子レベルで男女の産み分けを唱え男系維持を提唱しないかぎり、安定的な皇位継承という命題はクリアーできないと考えており、そうでないかぎり男系維持に説得性はないと考えている。
現状の男系維持論は先延ばしに過ぎず、万策尽きるまで皇位を男系で継承しようというのに意味を感ずることはできない。

25日深夜の朝まで生テレビの後半のほんの少しの時間、皇位継承問題が議論(お話?)された。あのパネリストのメンバー構成では男系維持のお二人(八木氏勝谷氏)に不利であったろう。
しかし、私は高崎経済大学八木助教授が発言している時の、客席の人達の顔を見たのだ。あの顔は田嶋陽子さんが発言しているときの客席と同じ顔だった。(田嶋女史を批判するものではありません。。)

関連記事:現代の天皇にはどうしてカリスマがあるのか。〜皇位継承は直系長子優先がいい〜

cf.皇室典範に関する有識者会議報告書より、抜粋 『』は私による強調 【】内は私による想像議論
・男系による継承は、基本的には、歴代の天皇・皇族男子から必ず男子が誕生することを前提にして初めて成り立つものである。
過去において、長期間これが維持されてきた背景としては、まず、『非嫡系による皇位継承が広く認められていたことが挙げられる。』これが男系継承の上で大きな役割を果たしてきたことは、歴代天皇の半数近くが非嫡系であったことにも示されている。また、『若年での結婚が一般的で、皇室においても傾向としては出生数が多かったこと』も重要な条件の一つと考えられる。
・近年、我が国社会では急速に少子化が進んでおり、現行典範が制定された昭和20年代前半には4を超えていた合計特殊出生率(一人の女性が、一生の間に産む子供の数)が、平成16年には1.29まで低下している。皇室における出生動向については、必ずしも、社会の動向がそのまま当てはまるわけではない。しかし、社会の少子化の大きな要因の一つとされている晩婚化は、女性の高学歴化、就業率の上昇や結婚観の変化等を背景とするものであり、『一般社会から配偶者を迎えるとするならば、社会の出生動向は皇室とも無関係ではあり得ない。』
・旧皇族は、既に60年近く一般国民として過ごしており、また、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される。『皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと考えられる。』
【「世論の支持」や「親近感」とはアイドル的なものであり、目本の象徴である天皇は、目本の歴史伝統に則したものであるべきで、そのような認識の下に教育も行うべき。また、旧皇族の皇籍離脱はGHQによるものであり、元に戻すだけである。←「世論の支持」や「親近感」は天皇制維持にもっとも必要なものである。現在の教育も不十分な面もあろうが歴史伝統に則したものであって、「世論の支持」や「親近感」を打ち出すものではない。「世論の支持」や「親近感」が重視されるようになったのは、まさに世論の影響であり、情報化社会がためである。】
・皇籍への復帰・編入を行う場合、当事者の意思を尊重する必要があるため、この方策によって実際に皇位継承資格者の存在が確保されるのか、また、確保されるとしてそれが何人程度になるのか、といった問題は、最終的には個々の当事者の意思に依存することとなり、不安定さを内包するものである。このことは、見方を変えれば、制度の運用如何によっては、皇族となることを当事者に事実上強制したり、当事者以外の第三者が影響を及ぼしたりすることになりかねないことを意味するものである。
・いったん皇族の身分を離れた者が再度皇族となったり、もともと皇族でなかった者が皇族になったりすることは、これまでの歴史の中で極めて異例なことであり、さらにそのような者が皇位に即いたのは平安時代の二例しかない(この二例は、『短期間』の皇籍離脱であり、また、天皇の『近親者(皇子)』であった点などで、いわゆる旧皇族の事例とは異なる。)。これは、皇族と国民の身分を厳格に峻別することにより、皇族の身分等をめぐる各種の混乱が生じることを避けるという実質的な意味を持つ伝統であり、この点には現在でも十分な配慮が必要である。

posted by 総理大人 at 06:56| Comment(7) | TrackBack(7) | 最近の諸問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 リンクありがとうございます。それだけ多くの人々に読んでいただけるので、非常に嬉しく思います。

 さて、あの記事(その2のほう)は、妥協案です。基本的には旧宮家の無条件の皇籍復帰(復帰しない一部の旧宮家の男系男子については永世にわたる皇位継承権の付与)を求めたいと思っています。

 旧宮家の男系男子は現在のところ10人以上いらっしゃいますので、側室は必ずしも差し迫って必要とは考えませんが、私は側室制度容認の発言をしています。(容認記事は、「寛仁殿下は男系維持を希望」および「寛仁殿下の「事実」発言について」)

 天皇家のカリスマ性や神秘性は、国民の人気や崇拝という意味ではなく、本来の宗教的な力という意味で不可欠だと私は考えています。天皇家から祭祀の力が失われたら、なんの意味もありません。

 もしも国民が納得しないのなら、祭祀王たる天子(天皇)は旧宮家に引き継いでもらい、直系には、天子から任命される摂政職に就いてもらえばいいと考えています。(たとえば「新たな有識者会議での再検討を求めたい!」) その他いろいろとアイデアはありますが、なかなか記事になるまでまとまりません。これはシリーズものなので、ときどきご覧いただけると幸いです。

Posted by 和空 at 2005年11月26日 14:22
ご丁寧にコメントありがとうございます。
方策については非常におもしろく拝見いたしましたし、私が読んでみたいような記事であったのです。そういうことでリンクさせてもらいました。

立場に違いは、ありますが、この問題に多くの国民が関われ、またの多く皇室の意見も開陳されるような状態になることは希求するしだいであります。

和空さんのお立場に誤解を生じさせぬよう、本文中に追記という形で補足しておこうと思います。
Posted by 総理大人 at 2005年11月26日 21:37
私は、男系維持派ですが、Y染色体論には懐疑的です。染色体は伝わる時に少しずつ変化するものです。神武天皇が存在したとして、そのY染色体がそのまんま伝わっているわけはありません。単に、純粋に万世一系にこだわります。こればかりはイデオロギーなんだからしょうがない(と自覚しているらしい)。しかも、伝統にこだわるんなら物質を頼りにせず伝統だけで勝負することにこだわるのが私の中では整合性がとれます。
総理の挑発に乗って(?)、出し渋ってた具体案を、やっと公開しました。よかったらご覧になってくださいませ。TBしておきましたので。
Posted by 猫研究員。 at 2005年11月27日 11:04
猫研究員さんが、Y染色体論に懐疑的なのは、猫研究員さんの記事やコメントから察知いたしております。
旧宮家男系男子を女王・内親王の旦那さん養子だったけ?にできればいいなと考えてらっしゃるようでした。

>伝統にこだわるんなら物質を頼りにせず伝統だけで勝負することにこだわるのが私の中では整合性がとれます。

私もそう思ってならないんです。

挑発するつもりもないのですが、乗ってくださってありがとうございます。
拝見したら、コメントしようと思います。

Posted by 総理大人 at 2005年11月27日 17:04
勉強させていただいております。
猫研究員さまのエントリーも拝見してまいりました。
具体的な対案を示すことが大事なのですね。
Posted by あくてぃぶ・そなあ at 2005年11月27日 18:52
さすがに総理は察しがいいですね!ただでさえ少数派の男系維持派同士で内紛起こすのも得策じゃないと思ってY染色体論批判は控えてるんですが、科学的にあまり正確ではないということは指摘しておきたいところです。

>男系を維持しないならば、兄弟姉妹間で男女に優劣をつける必要などないと考えている。

これには、大賛成です。男系維持しないならば、男子を優先する理由がないですよ。

挑発云々は言葉のあやですよぉ。最終報告書も出たし、同じ批判を繰り返しても意味ないから、皇位継承の話題に触れるとしたら具体案でも提示しなきゃと思ってたところなので、いいきっかけになったというのが真意です。「旧宮家男系男子と女王・内親王との婚姻」というのがベストだと思ったのですが、無理やり結婚させるのもいかがなもんかと考えて、男系女子を認めつつ緩やかに旧宮家の系統に移転する案に落ち着きました。何だかボケて2回もTBしてました。邪魔だったら一つ消しておいてくださいませ。
Posted by 猫研究員。 at 2005年11月27日 23:44
猫研究員さん

>さすがに総理は察しがいいですね

なんてお世辞はよしてください(笑)
ただ私は猫研究員フリークなだけであって、社会観察記のTBをたどって猫研究員さんの他のブログでのコメントを見たりもしてたもんですから。ファンなら誰でもわかることです。
ただ、内紛(笑)を懸念してのことだとはファンにもわかっておりませんでした。。

>挑発云々は言葉のあやですよぉ。
ファンですから、わかってたつもりですよ。ご心配?には及びません。
女系容認の私が猫研究員さんのブログにTBできるのも、そういう安心感があるからなのですよ。
当ブログの皇室関係の記事は、男系支持者のブログには原則TBしてません。
記事中散々男系維持派を挑発(笑)しておきながら私は戦争(笑)が怖いのです。


そなあさん

具体案が大事ということよりはむしろ、
私自身が「読みたい」のは批判ではなく案であるということなんですよ。

皇位継承についても、共謀罪について貴ブログにコメントしたときと同じ考えです。
このブログの一応のコンセプトが案を出すことですから。私がそういう考え方なんです。ちなみに、私の案の詳細は、私の諮問機関(?)である有識者会議に出させたので、省略という感じです。



Posted by 総理大人 at 2005年11月28日 01:19
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